弱鏡映部分多様体

この項目は「軌道の幾何学」に含まれる内容ですが、 現在進展中なので別項目にして情報を公開します。 この弱鏡映部分多様体に関する研究は井川治氏、酒井高司氏との 共同で行なっています。 以下はこの共同研究をまとめた論文です。 これらのプレプリントは arXivにも掲載しました。 その手順を 酒井高司君がまとめてくれました。

弱鏡映部分多様体の研究を始めた経緯

より詳細な経緯

各法ベクトルに関する主曲率が -1 倍で不変になるという対称性を持つ 部分多様体はaustere部分多様体と呼ばれていて、 special Lagrange部分多様体の構成等に利用されています。 このaustere部分多様体自身も対称性のあるおもしろい部分多様体 だと思っています。 球面内にどの程度austere部分多様体が存在するのか見るために、 既約Riemann対称対の線形イソトロピー作用の軌道が球面内で austere部分多様体になるための条件を制限ルート系に関する条件で 記述してみました。 この条件を満たす軌道をすべて求め詳しく調べると、 austereになる軌道のいくつかは法ベクトルの方向に 裏返す等長変換に関して不変になることに気付きました。 この性質は鏡映部分多様体の条件を弱くした条件になっていて、 余等質性 1 の等長変換群の作用の特異軌道がaustereになることを 示したPodestaの論法とも関係があります。 そこで、この性質を持つ部分多様体を弱鏡映部分多様体と名付け、 その基本的性質を調べ始めました。

球面内のGauss写像の退化する部分多様体

球面内の部分多様体のGauss写像には何種類かありますが、 全測地的部分多様体のGauss写像は定値になるものを考えています。 このGauss写像に関しては、 ある程度退化すると全測地的になるというFerusの結果があります。
D. Ferus, Totally geodesic foliations, Math. Ann., 188 (1970), 313--316.
さらにGauss写像の退化している全測地的ではない部分多様体に関する 研究:
G. Ishikawa, M. Kimura and R. Miyaoka, Submanifolds with degenerate Gauss mappings in Spheres, Advanced Studies in Pure Mathematics 37, (2002), 115--149
もあり、 この論文に触発されてGauss写像の退化する部分多様体と 弱鏡映部分多様体の関係を調べ始めました。
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