梶原行夫/News


2023.02.21
液体の水の熱力学異常とメゾスコピックゆらぎの関係に関する研究論文が、米国物理学会誌Physical Review Researchで公表されました。
広島大学からプレスリリースを行いました。


実はこの論文のメインの実験をSPring-8で行ったのは、2009年始め。
(後に別の関連実験を行ったが、結局この論文には載せなかった。)
論文の初稿ができあがったのは2013年中頃。
それから論文公表まで、約10年の歳月がかかってしまいました(長かった。。。)。
原因は、実験結果の解釈・議論がこれまでこの業界にはない斬新なものであったことにあります。
ただ、「全く新しいことを提案した」訳ではなく、以下のように他分野/過去に既に存在
していた議論を、学部レベルの相転移/統計力学の基礎知識を用いてまとめ上げたものです。
・水、液体テルル、超臨界流体水銀に共通する「速い音速」現象
・液体テルルの熱力学異常と液体−液体相転移に伴う不均質性(1950-80年代)
・液体−気体相転移の臨界現象に関する音波研究(1950-80年代)
自分としては、既にあるものを組み合わせただけ、と言う認識(それでも論文として価値が
あることに変わりはないですが)でしたが、他者が理解するのは非常に難しかったようです。
結局この10年間、誰もこのような議論を展開した研究者はおらず、先を越されることもありませんでした。
それだけに、水の熱力学研究に新たな視点を導入できたと自負しています。
この後、新たな研究が拓けることを期待しています。

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